PROJECT STORY

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モトタイルデンマークで開発された
「考える+運動する」テクノロジータイル

デンマークで開発されたテクノロジータイル「モトタイル」
“考える+運動する“の2つを同時に可能にすることに着目したセノーは、日本での展開に動き出す。

モトタイル
  • 開発

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デンマークからやってきたテクノロジータイル

2015年11月、デンマーク工科大学教授兼エンタテインメント・ロボティックス社代表のヘンリック ハウトップ ルンド氏が、自身が開発したモトタイルという商品を日本で展開したいと、旧知の日立ハイテクノロジーズ社を通してセノーにコンタクトがあった。デンマークでは高齢者の運動機能向上のために使われているこの製品。高齢者向けのトレーニング機器やヘルスケア介護の分野へ注力していく計画を立てていたセノーにはまたとない機会だ。ルンド氏との約束をとりつけ、来日のタイミングに合わせて製品の説明に出向いた。

デンマークからやってきたテクノロジータイル

仮説を証明するために

モトタイルを使うことで運動機能向上の効果をもたらすことは、デンマークで証明されていた。ただ実際にモトタイルを使うところを見ていると新たな可能性が見えてきた。「認知機能の向上も期待できるのではないか」そんな仮説が社内で浮かび上がった。

運動機能を向上させる製品はたくさんあるが、「運動機能」と「認知機能」の両方を向上させる製品は、セノーにとっても新しい切り口であり、裏付けさえあれば販売においても差別化につながる。ルンド氏を紹介してくれた日立ハイテクノロジーズ社は脳科学的に効果が期待できる製品の検証を行い効果の認められるものにはブレインサイエンスマーク認証を与える事業を行っている事を知り、プロジェクトチームと相談して、マークを取得するため、動き出した。

日立ハイテクノロジーズ社と共同して、マーク取得のために行われる様々なミーティングに参加。木下がこれまで担当してきた開発の仕事では、聞かない脳科学の専門用語で頭がいっぱいになった。その中でどのような流れでマークが付与されるのかという基本的な部分から、セノーで行わなければならないことはなにか、実験で検証しなければならないことはなにか、マーク取得に向けて消化していった。

そして、モトタイルの話が舞い込んできてから1年半たった2017年4月。さまざまな検証と苦労を乗り越えて、モトタイルでエクササイズを行うことは、「認知機能向上」に効果があると実証されたのだ。

これでブレインサイエンスマーク取得済み製品として、科学的裏付けを持ってモトタイルを世に出すことができる。

仮説を証明するために

開発として忙しくなってくるのはこれから

将来的には、アプリ内でこのプログラムは体力増進、これは認知機能の向上、これはバランス能力や筋力向上…など、行うプログラムがどのような効果をもたらすのか、日本の市場でより多く受け入れてもらえるようなアレンジを行っていく予定だ。さらに、モトタイルの使用前後でどのぐらい認知機能の向上が見られたかという簡易テストプログラムを追加して、「認知機能向上」を測れるようにもしていきたい。日本市場へのカスタマイズが始まってからが開発チームの本領発揮となるだろう。

認知機能の衰えが高齢者問題のひとつになっている昨今、このモトタイルがその一助となることを木下は願っている。

「脳に良いだろう、という商品はいっぱいある。でも、モトタイルは“だろう”ではなく、効果的に証明された製品だと自信をもって言える」その言葉に、開発としての強いプライドが感じられた。

開発として忙しくなってくるのはこれから

機能ではなく、まずは体験を売る。

「まずはモトタイルというモノを見てもらいたい、すべてはそれから。」

開口一番、そう語った。最初から機能やエビデンスありきでは商品のよさは伝わらないということ誰よりも知っている証だ。

そもそもセノーは、体育用具やトレーニング機器を製造して販売することをコアの事業としている。ヘルスケアや介護市場向けの製品はこれから注力する市場であり、今までと違う市場に向けた販売戦略は大きな悩みを抱えていた。製品の良さは使ってもらわないとわからない。

「まず製品を見てもらいたい、そして体験してもらいたい。機能や効果はその後でいい」。この答えにたどり着いてから、一気に考えがまとまり販売戦略が加速する。もうぶれることはなかった。

機能ではなく、まずは体験を売る。

効果の「見える化」に焦点を当てて

モトタイルは、決してルーティンのトレーニングやエクササイズではなく、あくまでも楽しい遊びでなければならない。そうでなければ類似商品と差別化できない。センサーが組み込まれた10枚のタイルを並べ、点灯したライトを踏んで消していく。踏むとドレミの音や動物の鳴き声がする。難易度も自由に設定でき、クリアする喜びを味わえる

大切なのはゲーム感覚。「昨日は10枚踏めたけど、今日は12枚踏めた。明日は15枚に挑戦して、格好いいとこを見せてやろう!」と瀬戸口の目には、利用者がゲーム感覚でモトタイルを使用しているシーンが浮かぶ。これこそが、楽しさの後にある効果である。自分ではゲームをして遊んでいるつもりだったが、「考える+身体を動かす」という2つのことを同時に行うことで、運動機能の向上はもちろん、認知機能の向上へとつながっているのだ。

今、介護福祉施設や公共スポーツ施設などでデモンストレーションを行ってもらい、とにかく多くの方々に楽しみながら体験してもらおうと意気込んでいる。

効果の「見える化」に焦点を当てて

発売開始後の戦略もすでに頭の中に

販売が始まった今、もうすでに次の販売戦略も頭で描きはじめている。ある程度商品が認知されたら、モトタイルを売るだけではなく、測定プログラムを追加したり、効果的なトレーニング方法を指導したりと、購入後も継続して使ってもらえる仕組みを整えるつもりだ。測定プログラムを使ってもらい、データを蓄積していくことで、指標づくりや今後の追加していくべきプログラムの内容も見えてくるだろう。「このプログラムを実行したら、認知症の予防に効果が確証できるということまで言えるようにしたい」まだまだ長い道のりは始まったばかり。でもその先にはきっと、いつまでも長生きで元気な人々の笑顔があると信じている。

発売開始後の戦略もすでに頭の中に

通訳という立場での参加

主に海外へのスポーツ器具の輸出業務を行う海外事業推進部に所属する酒井。だが、今回は全くの逆で、海外の製品を日本で販売する。ここでの役割は明確だった。モトタイルの開発者 ルンド教授率いるデンマークのエンターテインメント・ロボティックス社とセノーをつなぐパイプ役を務めることだ。仕事は通訳だが、ただ単に言葉を変換すればいいという訳ではない。文化、時間、スピード感、考え方が違う…。この間をしっかりとつながなければならない。さらにルンド教授はエンターテインメント・ロボティックス社の社長であり、YesかNoか判断がとても早い。曖昧な返事をしていると物事が前に進まない。役割はとても重要だった。日々、押しつぶされそうなプレッシャーと戦いながら、それでもとにかく、与えられた役目にひたすら没頭した。

通訳という立場での参加

あらゆる会議に参加し、知識を構築。

そのため、会議という会議のすべてに参加した。モトタイルの商品を知ることはもちろん、プログラムやアプリのこと、さらには開発やマーケティングのことまで、ありとあらゆる情報をインプットしておく必要があった。契約に関する専門的なことも大切になってくる。勉強しながらも、容赦なく届く日々のメール。PCの画面上だけで会話をしていると、相手の表情がわからない。「焦っている…」。時にはルンド教授の感情が覗えるメールもある。

教授が求める答えを、日本側から何日も返答できない日が続いた。曖昧な返事を返す日々。日本の仕事の進め方は分かっている。だか、早く日本での販売を始めたいルンド教授の気持ちも痛いほどわかる。

タイミングを見て、感情のこもった部分は言い方を変えて日本側に伝えていたが、「ルンド教授からのメールは、焦りや苛立ちと言った感情も、すべてをありのままに伝えよう。日本側の状況もありのままに伝えよう」そう決めたら、少し楽になった。

あらゆる会議に参加し、知識を構築。

プレッシャーとやりがいの間に。

ルンド教授とのやり取りを通じて、教授が本当にモトタイルという製品に愛情を注いでいることに気づいた。日本での展開を皮切りに、もっと広く世界へ向けてモトタイルを広め、多くの高齢者の体力向上や認知機能の予防・向上に貢献していきたいというルンド教授の思いに、大きく共感する。まずは日本を幸せにすることから。そのために今、言葉や文化の異なる国をつなぐ通訳という業務がとても大切であり、彼がいなければ物事が進まないのもまた事実である。それは、大きなプレッシャーでもあり、同時にやりがいでもあった。

プレッシャーとやりがいの間に。